マリオン・イングラム『戦禍の中で』『平和の下で』(寺田由美、北美幸他訳、小鳥遊書房)

ナチス政権下のドイツでホロコーストと空襲を生き延び、戦後アメリカに渡って公民権活動家となった女性の自伝。
個人的には公民権運動に関して不勉強だったのですが、読みやすい語り口と注も親切で、予備知識がなくとも読み進められました。戦争や人種差別の問題、BLM運動などについてこれから知りたい方にもおすすめです。
毅然と生きたユダヤ人の母、公民権運動に身を投じる黒人の仲間たち。この本には周囲の人々の魅力的な人柄を伝える文章がたくさん出てきます。それは歴史を俯瞰的に学びたい場合には不要かもしれないエピソードですが、差別を克服する上で大きな助けとなるように思います。